ワセダシカ コラム

2020/05/20歯科衛生士の仕事から考える、行動を変える伝え方

現在、全世界で猛威を振るう新型コロナウイルスにおいては諸外国ではロックダウン、日本では緊急事態宣言が出されたことで、全世界の人が様々な自分の状況は一旦置いて行動を変えていくことが必要となってしまいました。そして行動しました。今回のコロナウイルスのように直接命に関わる病気だと恐怖が強く、多少疑問点があったとしても命には変えられないと行動する人々も多いと考えます。

ただ中には、わかってはいるけどなかなか行動を変えていくことが難しい、という人々も一定数いました。一斉に同じ方向へ動いていくのはとても難しいことだと実感したとともに、歯科衛生士としても何度も経験した、行動を変える伝え方の難しさを思い出しました。

医療系の国家資格をもつ歯科衛生士。歯科衛生士になるために他医療職のみなさんと同様に私達は自分自身、家族、大切な人達と健康に暮していくために必要な知識を学びます。学校で学ぶことは基礎です。必要な知識ではありますが教科書通りの対応では患者さんを健康に導くことは難しいのが現実です。

歯科衛生士という職種は医科とは違い、昨今では治療よりも予防をメインとして診療が進められています。歯科衛生士は一人一人違った状況(健康状態、家族構成、健康意識、などなど)であることを加味した上でその患者さんに対しベストな方法で伝え、健康になるお手伝いをしていきます。

ここに磨き残しがあるのでこーやってみがいてくださいね❤️だけでは、知ってるよ、できないよ。とそれで終わってしまうかもしれません。新卒の衛生士さんなら可愛らしさで許されないけど許されるかもしれませんが、それが中堅以上になると医療従事者としてどうなんでしょうということになります。患者さんは貴重な時間をさいて健口(健康)を求めて診療室に来ているということを忘れてはなりません。

人は自分の判断で行動を決定してきます。だからこそ、歯科で予防は大切と方法論のみ伝え続けても患者さんの行動は全く変わらないなんてこと日常茶飯事です。しかしそういったことの原因の多くは、患者さんではありません。いくら丁寧に指導を行っても行動が変わらない場合は多くの場合、私達歯科衛生士の伝え方に問題があります。

どうして行動を変えていかなければならないのかと未来に起こるであろう状態をイメージしてもらい治療の重要性をご理解いただくために、どうして行動を変えられないのか、その患者さんの背景をしっかり聞き取り、読み取る、そして寄り添いながら伝えることを根気よくしていくことが必要なんです。忍耐。

歯科の病気は医療従事者のみで治すことができないということ、私達はサポーターであり、毎日のケアリーダーは患者さんご自身であることを最初に伝え、分からないことはなんでも聞いてください。とどーーんと頼れる衛生士さんは良い歯科衛生士だと思います。

全身の健康を口から守るお手伝いをするという職務を今こそしっかり行うことが医師、看護師など新型コロナウイルスに対応してくださるみなさんの大変さを少しでも緩和できる、今、私たちにできること、なのかもしれません。

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ワセダシカ教務

 青木